リペイントするインジケーターをEA化するとどうなるのか。

インジケーターのリペイントとは、終値が確定したローソク足上のグラフやサインが、後になってから、消えたりその位置が変更されたりすることをいいます。

 

プログラム的には様々なやり方がありますが、要は、最新の価格データを過去のグラフやサインに反映させているわけです。こうすることによって、過去の値動きを見る限り、そのインジケーターがあたかもトレンドやエントリーポイントを正確に予測しているかのように見えるため、詐欺商材として販売されることも多々あります。

このようなリペイントするインジケーターからデータを抽出してEAを作成することももちろん可能ですが、その場合、どうなるのかというと、


①ビジュアルモードでバックテストをした場合、最後にチャート上に現れるグラフやサインはリペイント後のものであるのに対して、発注や決済のタイミングはリペイントする前のグラフやサインに従うため、ロジックと異なるタイミングで売買が実行されているように見えます。もちろん、パフォーマンスも、過去のチャート上の見た目に比べてかなり劣化します。


②また、トレードにおいても、発注や決済がリペイントする前のグラフやサインに従うため、過去のチャート上の見た目に比べてパフォーマンスがかなり劣化します。

インジケーターがリペイントするかどうかを調べるには、1分足チャートを使って、下の画像のように1本前のグラフやサインの場所に何かオブジェクトをつけておくとよいでしょう。

そして、コーヒーでも飲みながら30分くらい待って再びチャートを見ると、

上の画像のように、グラフの位置が時間の経過とともにずれていることがわかります。

このようにリペイントするインジケーターや、あるいは、そこからデータを抽出して作成したEAを使って勝てるのかというと、まず100%勝てないと言っていいと思います。


なぜならば、そのようなインジケーターの開発者は、勝てないからこそリペイントさせているからです。

ところで、このようなリペイントするインジケーターというのは、我々EA作成業者にとっても、実は、「泣かせモノ」なのです。


まさかお客様が、わざわざ高額な料金を払ってリペイントするインジケーターからデータを抽出するEAの作成を依頼されるとは思ってもいないので、そのまま作成をした後、ビジュアルモードでテストをすると、前述のように、売買のタイミングがどうしてもずれてしまい、「どこか自分のプログラムにミスがあるのでは」と、ひどい時には三日三晩悩みます。そして、



まさか、これ、リペイントするのか?



と気づいたときには、もう疲れ果てています。


勝てないことが分かっているので、お客様からは料金をいただきにくいし、かといって自分の労力がすべて無駄になるのはつらいし…。