どんなに資産が増えても掛け金を常に一定額のままでする投資法を単利運用といいます。
上の画像の例では、常に2万円を加算しています。単利運用の場合、仮に勝率が100%ならば、上の画像のように資産曲線は1次直線になります。
これに対して、資産の増加に応じて掛け金をどんどん増やしていく投資法を複利運用といいます。
上の画像の例では、現有資産の20%を加算しています。複利運用の場合、資産が増えるたびにロット数もどんどん増えていくため、資産曲線は上の画像のように加速度的な2次曲線を描きます。その結果、両者の最終口座残高を比べると、たった20回の取引で7倍以上もの開きになっています。
これがまさに複利のパワーです。
本日は、前回の記事で紹介したポートフォリオを複利運用したらどうなるかテストしてみたいと思います。
ただ、ひとくちに複利運用といっても、いろんなやり方があります。どれが正解というわけではありませんが、当方が開発した損切り幅自動伸縮式最大許容損失率一定の資産比例型複利法を紹介します。
まず、シリーズPART9で紹介した、ATRを用いた損切り幅の自動伸縮法を思い出してください。これは、損切り幅=ATR×Nとして、値動きが大きいときは損切り幅も広く、値動きが小さいときは損切り幅も狭くして、EAのパフォーマンスをアップする工夫でした。
次に、これを前提に「1回の損切りによって失ってもよい金額」の資産に対する割合、つまり、最大許容損失率を決めます。たとえば、口座残高が100万円で最大許容損失率を5%と設定した場合、1回の損切りで5万円を失うことになります。そして、前述のように、値動きが大きいときは損切り幅も広くなるので、逆にロット数を少なくして損切り時に5%の損失になるようにロット数を計算します。一方、値動きが小さいときは損切り幅も狭くなるので、逆にロット数を多くして損切り時に5%の損失になるようにロット数を計算します。簡単に言えば、損切り幅とロット数を逆比例させるわけです。
こうすることによって、1回の取引における最大許容損失率を常に一定に保ったままロット数が適正に算出され、その結果、現有資産にほぼ比例して利益も加算されていくことになります。ただし、プログラム的には非常に複雑なものになります。
では、早速この複利法で前回紹介したポートフォリオをテストしてみましょう。
◆検証期間 2016年1月1日~2020年12月31日の5年間
◆通貨ペア USDJPY
◆最大許容損失率 5%
◆時間軸 30分足
◆スプレッド 5ポイント
◆取引回数 2061回
◆勝率 57.11%
◆PF 1.47
◆初期口座残高 100万円
◆最大ドローダウン率 23.07%
◆最終口座残高 4億5880万552円
最大ドローダウン率が23.07%なので、精神的にはちょっとキツイと思われます。
そこで、もう少し最大許容損失率を下げて、4%でテストしてみると、
◆最大許容損失率 4%
◆PF 1.49
◆最大ドローダウン率 18.80%
◆最終口座残高 1億4369万1617円
という結果でした。最大ドローダウン率が20%を切っているので、これならどうにか運用できそうです。
もうお気づきの方もみえるかと思いますが、100万円が5年で約140倍以上になったということは、もしもこのポートフォリオを10年運用すれば、最終口座残高は
200億円を超える
計算になります。
もちろん、実際にはそこまで稼ぐことはできないでしょう。理由は、
①税金の徴収
②証券会社によるロットやレバレッジの制限
③スプレッドやスリッページによる弊害
④通信トラブルやサーバートラブル
⑤マーケットインパクト
など、実運用ではさまざまな制限や弊害、トラブルなどが発生するためです。
しかしながら、少なくとも、マスクをつけて毎日満員電車にゆられながら通勤し、好きでもない上司のご機嫌を伺うような日々からは解放され、自由で安心できる生活を手に入れることは可能ではないでしょうか。
EA自動売買とは、そんな素敵な夢を私たちに与えてくれるものだと思います。
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